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デイ・オブ・ザ・デッド

2009年04月24日 00:11

ゾンビ映画の超巨匠であり、個人的にめっちゃ崇拝しているジョージ・A・ロメロのゾンビ黙示録シリーズ(と勝手に命名)第3作「死霊のえじき(原題:デイ・オブ・ザ・デッド)」のリメイクと銘打ったB級ゾンビ映画。と言ってもこの手のリメイク作品にありがちな、原作の持ち味は何にも残されていない全くの別物。ただし、ロメロ映画のリメイクだなどと肩肘張らずに、素直にただのゾンビ映画だと思えば結構良い出来。駄作まみれのゾンビ映画業界のなかではかなり面白いほう。

田舎町に検疫隔離演習という名目で州兵がやってきて、町を封鎖してしまう。ちょうどその頃、町中で風邪のような症状が頻発していた。主人公の州兵、サラは、町に住む母親も風邪のような症状で苦しんでいると聞き、病院へ連れてゆくが、次々と人々がゾンビ化してしまい、仲間と共に町を脱出しようとする。

ストーリーはありがちなゾンビ映画そのもの。冒頭のタイトルバックの演出がダサすぎて開始早々やや心配になったが、案外テンポよく進むうえ、いかにもなB級テイストの軽さが上手く出ており、最後まで飽きずに楽しめた。ロメロ映画=しっかりとしたテーマ性、みたいな期待と先入観を持たずに、ただのB級ゾンビ映画と割り切って観るべし。ロメロのことは忘れましょう(ファンの方へ)。

この映画で特筆すべきはゾンビの素早さ。「28日後・・・」や「ドーン・オブ・ザ・デッド」でも超速ゾンビが登場したが、その比じゃない。なんかゾンビというより別のクリーチャーのような超人的な俊敏さ。天井にも張り付いちゃいます。もはやゾンビではない・・・(別に悪い意味ではなく)。また、感染者がゾンビに移行する速度も結構速い。これは「28日後・・・」もそうだったけど。
また、ゾンビ化しても生きていた頃の知能や性質が若干残っているという設定が目新しい。ベジタリアンのゾンビはゾンビ化しても肉を食べない(=人を襲わない)し、研究者のゾンビは狡猾で手強い。

原作「死霊のえじき」との共通点は、そういった「ゾンビに知能が残ってる」という設定(原作でいうバブくん)と、軍人が出て来るぐらいしかない。タイトルバックでご丁寧にも「BACED STORY BY...」とでかでかと紹介されていたが、その意味あんのか、ぐらい。これなら全くの別物としてつくったほうが良かったのでは・・・。まあ集客とかに関係あるのかもしれないので、あんまり突っ込みませんけど。

主人公が可愛いのと、テンポのいい展開、ありがちだがスッキリ終わる結末で、全体的にそれなりに面白い出来。ゾンビ映画やB級ホラーが観たい気分のときには是非どうぞ。気軽に楽しめます。
ゾンビの素早さや町中のシチュエーション(町の造形など)が妙にゲーム「Left 4 Dead」に似ていたため、それをつい思い出してしまった。実際にその状況を体感できるという意味ではやっぱりゲームのほうがダントツに怖いなあ。

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ゾンビーノ

2009年03月15日 02:33

50年代アメリカで、核への脅威と畏敬の念から想像(創造)された、架空の核戦争後のパラレルワールドが舞台。メカのような要素がほぼ皆無なのを除けば、テイストとしてはいわゆるレトロ・フューチャーものである。
核爆発による放射能汚染で、死人が蘇りゾンビと化して歩き回るようになった。人類vsゾンビの、「ゾンビ戦争」が勃発したなか、偉大なるゾムコン社がゾンビにつける首輪を開発。その首輪をつければ、ゾンビの人肉を食べたいという欲求を抑え、従順なペット(というより召使い?)として手なずけることができる。そして世界は隔離された安全な街と、その外のゾーンと呼ばれる危険なエリアとに分断され、人々は街の中でゾンビを飼い(?)ながら平和に暮らしているのだった。

と、のっけからなんだかダイナミックな書き方をしてしまいましたが、これは映画の冒頭で一気に説明されるもので、作品の内容自体は平和な50年代テイスト溢れる街での少年とゾンビの心温まるハートフルストーリーです。ううむ、自分で書いてて意味がわからん。とにかく終始ほのぼのしてます。

この世界ではゾンビを飼うことが一種のステイタスらしく、主人公のいじめられっこ少年ティミーの家にも、見栄っ張りのママ(またキャリー・アン・モス!「ディスタービア」といい、お母さん役ばっかりやり過ぎだから!)のたっての願いでとうとうゾンビがやってきた。ソンビに「ファイド」(この映画の原題)と名づけ、徐々に心通わせるゾンビとティミー。そこに色々ハプニングが起きて・・・。みたいな、もう、至って普通のお話です。そう、普通過ぎる。この物語の大前提である「ゾンビを飼う」という概念を除けば。

この作品の大前提な「ソンビを飼う」という概念はブラックジョークに溢れていてとっても面白い。だけどなんだか物足りない。むしろ若干途中でダレ気味。何故なら、そこを除けば全てがありがちで、容易に想像できる内容でしかないからだ。
随所にゾンビ映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロのオマージュのような雰囲気を匂わせたり、ティミーに「ゾンビは生きているの?死んでいるの?」と、思わせぶりな発言をさせていたりするのに、そこに関しての掘り下げは一切ない。せっかく「ゾンビを飼う」という面白い設定をしているにも関わらず、面白いポイントはその設定だけで、内容には全く絡んで来ない。観ていて「これゾンビじゃなくて犬とかでも成立するよね・・・」とか思ってしまった(厳密には成立しないけど)。

例えばロメロのオマージュを匂わせるのなら、ロメロが終始ゾンビ映画のテーマとして掲げる「殺生」について、更に裏返したようなブラックジョークを入れて欲しかったし、ティミーに思わせぶりな発言を冒頭からさせるなら、そこについてのきちんとした答えが欲しい。少年とゾンビが和気藹々としているのは、最初は観ていて面白いが、それだけで終わってしまっては観ているこっちが困ってしまうというもの。せっかく犬ではなくゾンビなのだから、ゾンビならではの観客の裏をかいたような演出が欲しい。でなければ犬と少年の心温まるハートフルストーリーとなんら変わらないではないか。そんなのディズニーに任せとけ。

そもそもこの映画を観るという時点で、相当のゾンビ映画ファンか物好きかに限定されるのだから、その辺りの「コアなファン」のニーズに応えるような内容にしなくては駄目だと思う。内容は至って心温まる普通のお話です、でもゾンビが人を食いちぎるシーンもあります、じゃ、一体どんな観客層が観て楽しめるというのか。自分が単純に「コアなファン」に含まれるせいかもしれないが、とにかく何の仕掛けやどんでん返しもなく、全てが予想通りの範疇のまま終わったときには、正直ガックリきた。設定が興味深いだけに残念だ。

本当のブラックジョークやしょうもなさ、くだらなさから来る面白さというのは、つくり手側の本気度で変わってくると思う。つくり手側が本気でやっている熱が伝わって来れば来るほど、「こいつこんなしょうもねーことに本気だよ」みたいな面白さが、自然と伝わってきて笑えるというもの。今作にはそれが足りない気がする。設定が既に面白いから、あとは普通にやってても面白いよね、という、悪く言えば手抜き感が伝わってきて、結果としてあまり笑えるシーンもない。もう少し工夫や観客に向けてのサービス心があればずっと良くなっただろうに。もったいない作品。

ちなみに、ゲームの話ですが最近までやっていた「Fallout 3」というゲームの設定が、この映画の設定と酷似していて(ゾンビではなく、50年代アメリカテイストの核戦争後の崩壊した世界という点)、冒頭のゾムコン社のプロモーションムービーなんかこのゲームのトレイラーとテイストがソックリで、なんだか最初そのゲームのことばかり考えてしまった。そっちは完全なレトロフューチャーもので、放射能入りのコーラ的飲み物「ヌカ・コーラ」(ヌカ=ニューク=放射能)が出て来たりと、ブラックジョークという点では完全に上を行っていた。まあゲームと映画は違いますけど。興味がある方は公式サイトの「映像」から「予告編ムービー Part2」というやつを観てみるとよろし。

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