宇宙飛行士への夢半ばで、父親の農場を継ぐことになり挫折したチャーリー・ファーマー。しかしそれでも宇宙への夢を諦めきれず、家族の協力のもと自力でロケットをつくり、自分の農場から飛び立とうとする・・・
うーん、あらすじを見たときはかなり面白そうな予感がしたのだが、ちょっと期待外れ。農場で自作ロケットをつくり発射させる過程が丹念に描かれたSFドラマなのかと思えばちょっと違うし、じゃあ夢を忘れず宇宙へ飛び立つ男を寓話的に描いたファンタジーかと聞かれればそれも違う。あくまでテーマは「家族の絆」であり、子どもたちは可愛らしいし夫婦の信頼感もよく出ていて大いに結構なのだが、それだけではちょっと困る。だって主題が主題だ。農場から自作ロケットを飛ばすという、ある意味突拍子もない、途方もない話なのだから、やっぱり「家族の絆って素敵ですね」以上のものがないと、結局、語るべき「家族の絆」さえ薄っぺらなものに見えてきて、物語全体の説得力がなくなってしまう。
一番の失敗点は、リアル志向にするかファンタジーなのか中途半端なところ。リアル志向にするならば、例えばロケットの制作過程や燃料の供給手段など、現実的な部分をもっとしっかり描くべきだし、劇中多少出てくるようなFBIやNASAの妨害などももっとあってもいいようなもの。逆に、ファンタジーに徹するなら、そういった国や政府の妨害などは極力省き、あくまで夢を追い続けることの純粋さをもっと前面に出すべきだ。そのリアリティとファンタジー加減の混ざり方が、あんまりうまくいっておらず、結果、水と油を混ぜてしまったかのような、なんとも場違いな、どちらにも乗り切れない感が残る。
個人的にはもっとファンタジーな、寓話的な物語かと思っていたので、FBIが出てきたりと、現実的な描写が出てきたときにはちょっとげんなり。それならそれで、そっち方面をもっとしっかりと詰めて欲しかった。また、カメオ出演だかただの脇役出演だか知らないけどアノ大物俳優の登場も、全く別のSFアクション超大作を嫌でも彷彿してしまい逆効果。「俺は宇宙に行って地球を救ってきたぜ」とか言わなくて本当良かったです。その俳優さん自身は、ハリウッドスターでダントツナンバー1に好きなんですけどねー。うーん、色々惜しい作品。
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