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ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

2009年05月31日 20:34

超有名ファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズ第3作目の同名映画化作品。
前作、前々作同様、DVDリリース当初に一度観ているのだが、原作を読んだのでまた観た。

今作は前2作のクリス・コロンバスから変わってメキシコ人監督、アルフォンソ・キュアロンが監督している。アルフォンソ・キュアロン!そう、「トゥモロー・ワールド」で度肝を抜かれたあの監督ですよ!今作はこの「トゥモロー・ワールド」の制作資金をつくるために引き受けたらしいのだけど、やっぱりキュアロン節は健在で、前2作とは全く違う趣になっている。ちなみに「トゥモロー・ワールド」はまごうことなき★5個の大傑作なのでこちらも必見。

キュアロンといえば、「トゥモロー・ワールド」での架空の荒廃した近未来世界のリアリティある描き方が絶妙だったのが印象的だが、架空の世界を描くという点ではこの「アズカバンの囚人」もかなり突出している。
物語は今までと同じホグワーツ校を中心に起こるのだが、まず、建物や庭の構造といった美術そのものが全く違う。前2作と同じ場所とは思えないぐらいだ。校舎となる城から広い庭を挟み、禁じられた森の端に建つという設定のハグリッドの小屋の周辺の描写が特に今までと大きく異なり、高低差のあるやや荒廃した雰囲気になっている。それ以外にも、城の周りを取り囲む木々の感じが以前より鬱蒼としており、全体的に薄暗く、魔法・魔術というものがもつ陰鬱な側面の雰囲気を上手く醸し出している。
前2作の明るく健全なファンタジーの雰囲気が好きだった人は、このダークな雰囲気に少々面食らうかもしれない。好き嫌いは分かれると思うが、自分はかなり好みだった。

物語はホグワーツ3年生(13歳)となったハリーのもとに、アズカバンと呼ばれる魔法界の監獄から脱走した凶悪犯シリウス・ブラックがハリーを探しているという噂が飛び込んでくるところから始まる。それに合わせてホグワーツにディメンター(吸魂鬼)という恐ろしい怪物が配置され、シリウスからハリーを守るため警護にあたるのだが・・・。

脱獄したシリウスを始め、今後の物語に大きく関わる重要人物たちが次々登場し、ハリー・ポッターの壮大な物語もようやく本筋に入ってきたというところ。原作は約650ページ(携帯版)と、500ページ前後だった前2作よりスケールアップしており、そのぶん緻密に構成されたストーリーはシリーズ中でも定評のある完成度。クライマックスの「あの」展開などはユニークで、面白い。ただし、原作はスケールアップしていても、映画の尺はあまり変わらないので、大幅に削減されていることは否めない。しかも、今作から、今後の展開に関わってくる伏線や細かな設定などが登場するので、そういった要素がやや削られすぎている感はある。これは限られた時間しかない映画では仕方のないことだろうが、物語に魅力を感じた人はここいらで是非原作に手を出して欲しいところ。原作を読めば、より細かい設定や伏線~回収がわかり、さらに深く物語を楽しめること受けあい。

ただ、やはり監督が変わるとこうも変わるのかというのが些細なディテールの描写の仕方。新学期が始まるときの合唱シーンや、寝室でハリーやロンたちがふざけているシーンなど、原作にはない描写が随所に差し込まれ、ハリーたちの生活にリアリティを与えている。ストーリーに直接関係がなくとも、こういった細やかな演出というのが本来の映画のもつ面白みであり、同時に物語にのめりこませる大きな役割を担っているのは確か。やはりその辺りはさすがキュアロン、今までと少し違った着眼点が大いに生かされている。
また、ディメンターの造形や登場時の演出も見事。「忍びの地図」のデザインや、それを生かしたエンドクレジットも洒落ていて、長いエンドクレジットをつい最後まで観てしまった。

そして何より、シリウス・ブラック役にゲイリー・オールドマン!ゲイリー!大好きです。適役です。最近はバットマンの補佐っぽい冴えない刑事だったりしてますが、やっぱりゲイリーはこういうチョイ悪っぽい役が最高!なんたってシド・ビシャスですからね・・・(※昔「シド・アンド・ナンシー」という映画でセックス・ピストルズのシド・ビシャス役を演じてた)。自分にとっては今でもゲイリー=シドなのであります。
そして今作からダンブルドア校長先生がマイケル・ガンボンに。前2作で演じていたリチャード・ハリスが亡くなってしまったからなんですが、この人、「コックと泥棒、その妻と愛人」(←自分が超大好きな映画)の泥棒役の人なんですよねー。その映画では極悪人を演じていたので、なんだか違和感が・・・。なんていうか、怖い?(笑) まあ、「コックと泥棒~」の役どころのほうがこの人にとっては変化球だったのだろうと思われるので、いいんですけどね。もちろんまごうことなき名優です。

次作「炎のゴブレット」以降はまた違う監督に変わってしまうのだけど、理想を言えばずっとキュアロンに監督して欲しかった。やっぱり、いくら原作が有名でよくできているからといっても、映画にする際は監督次第で大きく変わると実感。もちろんそのプレッシャーもすさまじいものだろうけど、もうちょっと監督のチョイスは洗練して欲しいなあとつくづく思った一作。

(同シリーズの別の記事)
ハリー・ポッターと賢者の石
ハリー・ポッターと秘密の部屋
ハリー・ポッターと謎のプリンス

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ハリー・ポッターと秘密の部屋

2009年05月10日 22:41

超有名ファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズ第2作目の同名映画化作品。
前作同様、DVDリリース当初に一度観ているのだが、原作を読んだのでまた観た。

前作「賢者の石」から立て続けに観ると、俳優陣の成長っぷり(特にハリーたち子どもの)にどうしても目が行ってしまう。映画のリリースもだいたい一年間隔ぐらいだと思ったのだが、こんなに成長してしまうものなのか。12歳の設定にしては既に青年っぽい面影も出てきており、欧米人は発育がいいなーとつくづく思ったり。もちろん話も前作の続きとなるので、サザエさん的な、いつまでも成長しないようなものではないので内容的には問題はない。

11歳の誕生日に、自分が魔法使いであるとわかり、ホグワーツ魔法学校に入学したハリー。怒涛の一年を終えて、再び夏休みに意地悪なおじさん一家の住む家へと帰るところまでが前作の流れ。今作は、もうすぐホグワーツ2年目(2年生)を迎えるハリーの元へ、屋敷しもべ妖精のドビーがやってくるところから始まる。「今学期、ハリー・ポッターは学校へ戻ってはいけません」と告げ、ハリーをなんとかおじさんの家に留まらせようとするドビー。その制止を振り切って、再びホグワーツへやってきたハリーだが、校内で生徒が次々に襲われるという謎の事件が巻き起こる。

説明的で、単調な前作に比べれば、おおまかな概要は前作で既に説明し終わっているということもあり、学校を揺るがす大きなトラブル発生というスケールアップしたストーリーとともに、ハラハラドキドキ感を味わえる。前作のような冒険要素は少ないが、その代わりミステリアスな謎とき要素が豊富。前作を10分上回る、2時間40分という途方もない長尺にしては、飽きずに最後まで楽しめる(それでも長いけど)。
ただ、やはり、前作同様物語を語ることにいっぱいいっぱいで、こちらに考える隙を与えずどんどんお話が進んでいってしまうのは残念。せっかく様々な謎と伏線が張り巡らされているのに、ストーリーの進行のペースが早いため、色々想像する暇もなく答えが次々に明かされてしまい、気がつけば終わっているといった感じ。ただ、それでも、おおまかな説明が済んでいるぶんストーリーに重心を置けるので、前作よりはまだましだろう。

また、当たり前だが特撮も前作より若干スケールアップ。校内の些細な描写なども増えているので、ファンには嬉しいかぎり。迫力あるシーンも前作より多いように感じた。

次作「アズカバンの囚人」からいよいよ本筋とも言える物語が始まり、重要な登場人物が登場したりと、雰囲気がガラッと変わるので、お子様向け明るいファンタジーはここまでといった感じ。また、次作から原作のボリュームも増大し、そのため原作から削られる要素も多くなるので、原作にほぼ忠実に、一話完結な体裁をとれているのもここまでと言えよう。ここまででそのお子様テイストにウンザリな方は、是非次作を観てみてください。なんたってあのアルフォンソ・キュアロンだからね!

ここまでのシリーズ好きな順:秘密の部屋(2)>賢者の石(1)

(同シリーズの別の記事)
ハリー・ポッターと賢者の石
ハリーポッターとアズカバンの囚人
ハリー・ポッターと謎のプリンス

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ハリー・ポッターと賢者の石

2009年05月07日 02:06

今や誰もが知っているファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズ第1作目の映画化作品。

もちろん以前、DVDがレンタル開始した直後に一度観ているのだが(レンタル開始が2002年だからもう7年前?)、ちょうど今、原作にハマってしまい次々に読破している最中だったので、復習というかビジュアルイメージが観たくなってもう一度観た。ちなみに原作は第5作目「不死鳥の騎士団」の終盤まで読んだところ。映画も第5作目「不死鳥の騎士団」まで公開済みで、今夏に第6作目「謎のプリンス」が公開される。シリーズは全7作で原作は既に完結済みだ。

以前、初めてこの映画を観たときは、それなりに面白いけれどよくわからない印象の薄さがあった。もちろん現代の(当時の)VFX技術でこそ表現可能になった魔法世界を描いた美術は素晴らしかったし、杖を使って呪文を唱えることで魔法をかけたり、箒にまたがって空を飛んだりと、王道過ぎるほど王道なファンタジー要素を、実写で違和感なく観られることは、子ども時代に帰ったかのようななんとも言えないわくわく感を感じることができて楽しかった。ただ、ちょうど当時競うように公開されていた「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのほうが圧倒的に魅力的で、タイミングが重なってしまったためそれと比較してしまったせいもあるのかもしれない。それでも、たとえ「ロード・オブ・ザ・リング」がなかったとしても拭えない印象の薄さがあり、それなりに面白いのに何故なんだろうとずっと思っていた。

原作を読んだ今再び観ると、以前何故ピンとこなかったのかがよくわかった。まず、原作は1年間という、かなり長期にわたる物語であり、そんな大ボリュームの原作で起こる出来事を、2時間半という限られた映画時間内(それでも長過ぎだけど)でかなり忠実に追っているため、物語が平坦で、盛り上がりに欠けるのだ。小説での盛り上がりに割くボリューム(ページ数)と、映画での盛り上がりに割くボリューム(時間)は一致するはずがないのに、映画は原作とほぼ同じペースで進行している。これはあんまりよろしくない。けれど、様々な目新しい出来事がひっきりなしに起こるので、それを次々に追う慌しさで、観ていて退屈かと聞かれればそうでもない。結果、「面白いけど印象が薄い」という、自分の初見のときのような感想が出来上がるのだ。

この感じは自分が「スター・ウォーズ」シリーズを観たときの感じと似ていた。「スター・ウォーズ」もマニアックなファンが山といる大人気シリーズだが、個人的には何故か大して興味がなかったので、昔の3部作すら観ていなかった。比較的最近になって(新3部作がつくられたあと)、それじゃイカン、一応観ておこうと思い立ち、過去3部作を観てみたのだった。そのときも、面白いけどイマイチ乗り切れず、何故これがこんなに人気があるのか結局よくわからなかった。まあ、壮大な舞台設定とか宇宙船とかそういうSFガジェットがよろしいんだろうなーと他人事に感じたぐらい。(ちなみに自分はトランスフォーマーとかエイリアンのフィギュアは涎垂らして欲しがるタイプですが、スター・ウォーズのフィギュアは何故かたいして興味を持てませんでした。きっと趣味の問題)
そのとき感じたのは、「スター・ウォーズ」シリーズも物語が平坦だということ。宇宙船での戦闘シーンがあったり、惑星での戦いがあったりと、迫力あるシーン満載なのに、なんだか淡々としている。これは何故だろうと考えたとき、物語が人物の感情を主軸にして動いているわけではないからだと気付いた。普通、映画は主人公や各登場人物の感情にのっとって動いてゆく。そのため各登場人物に観客が感情移入することで、一緒に悲しんだり喜んだりでき、映画の世界に没頭することができる。
けれど、「スター・ウォーズ」に関して言えば、どうやらルーカス監督にとっては各人物は駒のようなものであり、その壮大な世界観を余さず描ききることのほうが重要らしい。結果、映画は絵巻物のようになってしまい、観ている側は客観的な視線でその壮大な絵巻物を眺めているような感覚になる。それは決して退屈ではないが、いまいち乗り切れないという状況をもつくり出すことになってしまう。登場人物誰にも、主人公にさえ感情移入できないようにつくられてしまっているのだから当たり前だ。

「ハリー・ポッター」が「スター・ウォーズ」より幸運だったのは、原作がしっかりした小説で存在するということ。原作は次々起こる出来事の合間に揺れ動く、その年齢なりのハリーたちの感情がしっかり描き込まれており、物語は決して俯瞰目線ではない。むしろ、どんどん惹き込まれていってしまうぐらいの、キャラクターの魅力がある。それは、やっぱり全世界で大ヒットしたのも頷けると思った。ただ、映画の失敗点は、その「全世界大ヒット」のプレッシャーからか原作者の要請か知らないが、あまりにも原作に忠実に描きすぎて、ハリーたち魅力的な登場人物の描写が疎かになっているということだ。
原作はむしろ、そういった数多くの登場人物たちの感情の流れと交流でできていると言ってもいいのに(そのへんがきっとテーマ)、そこをおざなりにしてしまったら原作の魅力はサッパリ味わえない。起きる出来事をとにかく描くだけでは、飽きはしなくとも誰かに乗り移って映画を堪能することもできないのだ。原作の大ボリュームを映画化する苦労は相当なものだろうが、時には大胆に削ったり改変し、より「映画として」面白いものにしてゆく努力は必要だと思う。繰り返すが、映画としてのテンポと小説としてのテンポは全く違う。

原作があるから幸運だというのは、原作を読めばかなりの部分が補完でき、それによって映画をもっと楽しむことが可能だということ。原作を読んでイメージしたものと映画とのギャップやマッチ具合を楽しんだり、映画を原作の挿絵的感覚で利用したりすることができるということ。
もちろん原作を読んでなくてもそれなりに楽しめることは楽しめるが(特に子どもには良いと思う)、その場合は続きものだということをしっかり認識して観たほうがいい。これはあくまでシリーズもので、話は伏線が絡み合って意外とややこしく、第7作、つまり最終話で、ようやく全てが結末するという心づもりで観ないと、本当には楽しめない。そのわりには一話完結っぽい雰囲気を醸し出しちゃってるのが問題だけど。
ちなみに、主人公ハリーが通う魔法学校ホグワーツは7年制で、原作も7作完結である。つまり、1作ごとにハリーは1年生、2年生、と学年が上がってゆき、物語は毎回夏休み(イギリスだから夏休みが学年の変わり目)~新しい学年の開始(9月)~新しい学年の終わり(6月末)という流れになっている。これに自分は原作を読んで初めて気が付いた。そういった細かい設定や、その世界ならではの用語をしっかり頭に叩き込む必要があるのも注意。意外とボケーっとは観ていられないのだ(特に自分のように、カタカナ言葉や人名が覚えられない人)。

なんだか「ハリー・ポッター」シリーズそのものの話になってしまったが、今作の「賢者の石」は第1作目ということで、様々な登場人物や今後お馴染みとなってゆく舞台の説明が多く、ハリーは11歳と完全に子どもだし、魔法学校には入学したばかりで大して魔法は使えないし、どうしても子ども向け感は否めない。ただ、今後(ハリーの成長に従って)かなり大人なテイストに発展してゆきますので、途中から観るよりはこの第1作から観たほうが絶対いい。というか、そうしないとわけがわからなくなると思う。物語の本編というか、本当の主軸が動き出すのはまだこれから。これは序章だと割り切って観るべき。ただし、ハーマイオニー・グレンジャー役のエマ・ワトソンは本当可愛いです!

(同シリーズの別の記事)
ハリー・ポッターと秘密の部屋
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スピード・レーサー

2009年03月17日 22:06

まず最初に謝っておきます。ゴメンナサイ、完全にナメてました。面白かったです。
予告編を観る限り、毒々しい原色のモロCGベタベタな映像と、子ども騙しのような嘘くさい世界観とで、「絶対これ酷い出来だろうな」と勝手に想像していた。でも「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー兄弟の監督の新作だし、一応、念のため、観るだけ観ておこう、と。そしたら予想外に面白くてビックリ。全く期待しないで観たせいもあるとは思うけど。

日本の昔のアニメ「マッハGoGoGo」(タツノコプロ制作)をかなり忠実に実写映画化した作品。若き天才レーサー、スピード・レーサー(←これ名前だから!)が、レース界の裏に潜む陰謀に立ち向かうため、家族や仲間と力を合わせて過酷なレースに挑戦してゆく姿を描く。

と、まずここで先に言っておきたいのが、自分、この「マッハGoGoGo」が原作だって知らなくて観ました。しかも原作の「マッハGoGoGo」も、主題歌ぐらいはなんとなく聞いたことあるけど、全然観たことなく、内容もサッパリ知りませんでした。最後のエンドクレジットで、これが原作だと初めて知り、後から調べたらキャラクターデザインやマシンデザインなど、かなり原作に忠実なことがわかり、たぶんこの原作アニメを好きだった人なら相当楽しいんだろうなあ、と思った。でも何も知らなかった自分でも充分楽しめたので、それはそれで、よく考えたら結構凄いことなんじゃないかと。だってこんな異色の、オタクっぽさ全開の映画が、一見さんでも充分楽しめる出来になっていることってあんまりない。そこはさすがウォシャウスキー兄弟というか、エンタテイメントのツボをしっかり心得てらっしゃる。
オタクっぽさ全開で好き勝手やってるのに、何故かしっかりしたエンタテイメントとして万人受けする出来に仕上がっているというのは、傾向は違えど「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンを彷彿とさせた。そうかそうか、ウォシャウスキー兄弟はこれが撮りたくて「マトリックス」シリーズをつくったのね。そんな監督の猛烈な愛を感じさせる。異端な見た目のせい(?)で日本ではあまりヒットしなかったが、これこそ日本でこそ観て欲しい作品なんじゃないか。日本への愛を込めたオマージュが超大量に入っているよ!あくまでオタク的にだけど・・・ 笑

最初、(ある意味想像通りではあるが)原色バッキバキのCGバッキバキの、つくりものめいた世界観に面食らうも、観続けていると徐々に慣れ、すぐに気にならなくなった。確かにレースシーンなど、CGだらけで実写なのかアニメなのか訳がわからなくなるシーンは多々あれど、全てがそのテイストで統一され、ブレがないため「そういった世界」であるとすぐ許容できてしまう。例えばあくまでリアルな映像に合成されたCGがちゃっちいときは「あーあ、やっちゃった」的痛さしか感じないが、全てがちゃっちく非現実的なこの映画では、逆にそういうものだと思えてしまうから不思議だ。そしてもはや、「映画」なのか「アニメ」なのか「コミック」なのかの境界すら曖昧になり、そこを納得できたとき俄然面白くなってくる。「映画」だと思い込んではいけない。これは「新しい何か」なのだ。この感じは「シン・シティ」や「トランスフォーマー」を観たときに感じたものに通じるものがある。

それでも物語の大半を占める苛烈なレースシーンなどはしっかりハラハラドキドキさせ、あくまでエンタテイメントとしての質は保たれている。かと思えば「ニンジャ」や日本風のギャグなど日本オタクで有名な監督のやりたい放題を随所に感じることができ、なんとも贅沢なつくり。日本の少年少女なら、昔子どもの頃にTVアニメを観て妄想したであろうシーンが、映像としてビジュアル化されているのを観たときには笑った。監督はまるで日本の子どもみたいだ。

自分のように、TVアニメや漫画を見て育った「典型的な日本のオタク」世代ならば、それを海の向こうから愛し、ふんだんにお金をかけて映像化してしまったこの作品を楽しめない筈がない。何故なら何か、嬉しい気持ちにさせられるから。自分たちの基盤となっているものを、国や文化は違えど好きなんだよー!という監督のメッセージを強く感じることができるからだ。自分の好きなものを好きと言ってくれる人を嫌える筈がない。
ただし、特にアニメや漫画に興味がなく、オタク要素が皆無な人には、ただのギラギラCGの子ども騙しのヘンテコ映画になってしまうかもしれない。結局、監督が愛する物を共有できる人でないとその面白さは真に感じられないだろう。そういう意味では「オタク映画」であることは間違いないので、まあ、オタクじゃない人は観てもつまらないかもね。

最後のエンドクレジットの主題歌も、原作アニメの主題歌をラップ調にアレンジしていてかっこいい。サントラ欲しいぐらい。あとサル可愛い。エンドクレジットのサル必見(可愛いから)。

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レミーのおいしいレストラン

2009年03月05日 19:25

ネズミなのに料理が大好きなレミーと、料理の苦手な見習いシェフ、リングイニが出会い、おかしなコンビで一流のシェフを目指す・・・。という、ピクサー制作の3DCGアニメーション。

最近数多く制作される3DCGアニメーションだけど、やっぱりピクサーは違う。ドリームワークスが「シュレック」シリーズなんかで少しひねくれた味わいで人気を出しているなら、ピクサーはあくまで王道、正統派でもって、最高峰のクオリティを常に保ち続けている。それは3DCGの技術的な面だけでなく、ストーリーやキャラクター、アニメーションが見せ得る全ての部分に関して常に完璧で、それによってピクサーの地位を不動のものにしている。

この作品は一見ニモやウォーリーなんかと比べると地味な雰囲気だが、それでもピクサーは手を抜くことはない。逆に、「料理」という、今までにないテーマを提示したことで、他にはない作品に仕上がっている。

まず、3DCGで描かれる料理や食材の美味しそうなこと。タッチはネズミから人物まで全てデフォルメされているのだが、その世界観を崩さず料理の質感や香りまで感じさせるのは、実写の映像よりどれ程大変なことか。そのデフォルメの度合いがピッタリで、逆に3DCGでしか見せられない不思議なリアリティが出ている。個人的に良かったのは、人物キャラクターの手の造形。いかにもなデフォルメキャラクターなのに、手に関しては絶妙なリアルさがあり、料理をする際にそれがとても引き立つ。やっぱり料理人は手先が大切だもんね。
また、作中のシーンのほとんどは、リングイニの勤めるレストラン(特に厨房)で展開されるのだが、そのシンプルなシーン構成でも全く飽きることがない。厨房の慌しい様子はコミカルではあるがよく雰囲気が出ていて、次々料理がつくられる様子はなんともわくわくする。
ストーリーはディズニーのアニメらしく、ワクワク、ハラハラ、笑いと感動あり、の程よいバランスで、最後まで飽きずに楽しめ、また、終わったときは笑顔になれる。もちろん子どもが観るのにもとってもおすすめ。だけど、このお話は、意外と大人向けなような気がしなくもなかったり。まず料理というテーマ、そして働くという感覚、恋愛要素もあるし(お姫様と王子様、ではなく普通の男女の恋愛な感じ)、何より最後のまとめ方がいい。これ以上はネタバレするので実際に観てください。

とにかく、個人的にはニモよりこちらのほうがよっぽど好きかも。邦題がいかにもなお子様向けっぽいが、大人のほうが観て欲しい。ちなみに原題は「RATATOUILLE(ラタトゥーユ)」だ。
また、普段映画を観る際は必ず字幕で観る自分だが、今回は珍しく吹き替えで鑑賞。こういったアニメーションは画面に集中するためにも吹き替えのほうがいいかも。こういう大手のアニメは吹き替えも秀逸なので、そこまで煩わしさもない。声だけでなく画面内の新聞記事の文字まで日本語になっていたのは軽く驚いた。
また、ピクサーらしくエンドクレジットで流れるモーショングラフィックスも洒落ていて良い。音楽にもマッチしている。

難点を挙げれば、主役のレミー以下登場するネズミたちは、デフォルメされているといってもミッキーマウスほどではないので(毛がフサフサしているし、尻尾や体型、色も比較的リアル)、ネズミ=不潔な生き物、の認識がある人は、そのネズミが厨房にいたり、ましてや料理したりするシーンはちょっと見ていてツライかも。自分もつい繁華街のゴミ捨て場に徘徊するドブネズミを思い出してしまい、それを鑑賞中に忘れようと必死になることが何度かあった。アニメだからとあくまで割り切って観るべし。

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