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ゾンビーノ

2009年03月15日 02:33

50年代アメリカで、核への脅威と畏敬の念から想像(創造)された、架空の核戦争後のパラレルワールドが舞台。メカのような要素がほぼ皆無なのを除けば、テイストとしてはいわゆるレトロ・フューチャーものである。
核爆発による放射能汚染で、死人が蘇りゾンビと化して歩き回るようになった。人類vsゾンビの、「ゾンビ戦争」が勃発したなか、偉大なるゾムコン社がゾンビにつける首輪を開発。その首輪をつければ、ゾンビの人肉を食べたいという欲求を抑え、従順なペット(というより召使い?)として手なずけることができる。そして世界は隔離された安全な街と、その外のゾーンと呼ばれる危険なエリアとに分断され、人々は街の中でゾンビを飼い(?)ながら平和に暮らしているのだった。

と、のっけからなんだかダイナミックな書き方をしてしまいましたが、これは映画の冒頭で一気に説明されるもので、作品の内容自体は平和な50年代テイスト溢れる街での少年とゾンビの心温まるハートフルストーリーです。ううむ、自分で書いてて意味がわからん。とにかく終始ほのぼのしてます。

この世界ではゾンビを飼うことが一種のステイタスらしく、主人公のいじめられっこ少年ティミーの家にも、見栄っ張りのママ(またキャリー・アン・モス!「ディスタービア」といい、お母さん役ばっかりやり過ぎだから!)のたっての願いでとうとうゾンビがやってきた。ソンビに「ファイド」(この映画の原題)と名づけ、徐々に心通わせるゾンビとティミー。そこに色々ハプニングが起きて・・・。みたいな、もう、至って普通のお話です。そう、普通過ぎる。この物語の大前提である「ゾンビを飼う」という概念を除けば。

この作品の大前提な「ソンビを飼う」という概念はブラックジョークに溢れていてとっても面白い。だけどなんだか物足りない。むしろ若干途中でダレ気味。何故なら、そこを除けば全てがありがちで、容易に想像できる内容でしかないからだ。
随所にゾンビ映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロのオマージュのような雰囲気を匂わせたり、ティミーに「ゾンビは生きているの?死んでいるの?」と、思わせぶりな発言をさせていたりするのに、そこに関しての掘り下げは一切ない。せっかく「ゾンビを飼う」という面白い設定をしているにも関わらず、面白いポイントはその設定だけで、内容には全く絡んで来ない。観ていて「これゾンビじゃなくて犬とかでも成立するよね・・・」とか思ってしまった(厳密には成立しないけど)。

例えばロメロのオマージュを匂わせるのなら、ロメロが終始ゾンビ映画のテーマとして掲げる「殺生」について、更に裏返したようなブラックジョークを入れて欲しかったし、ティミーに思わせぶりな発言を冒頭からさせるなら、そこについてのきちんとした答えが欲しい。少年とゾンビが和気藹々としているのは、最初は観ていて面白いが、それだけで終わってしまっては観ているこっちが困ってしまうというもの。せっかく犬ではなくゾンビなのだから、ゾンビならではの観客の裏をかいたような演出が欲しい。でなければ犬と少年の心温まるハートフルストーリーとなんら変わらないではないか。そんなのディズニーに任せとけ。

そもそもこの映画を観るという時点で、相当のゾンビ映画ファンか物好きかに限定されるのだから、その辺りの「コアなファン」のニーズに応えるような内容にしなくては駄目だと思う。内容は至って心温まる普通のお話です、でもゾンビが人を食いちぎるシーンもあります、じゃ、一体どんな観客層が観て楽しめるというのか。自分が単純に「コアなファン」に含まれるせいかもしれないが、とにかく何の仕掛けやどんでん返しもなく、全てが予想通りの範疇のまま終わったときには、正直ガックリきた。設定が興味深いだけに残念だ。

本当のブラックジョークやしょうもなさ、くだらなさから来る面白さというのは、つくり手側の本気度で変わってくると思う。つくり手側が本気でやっている熱が伝わって来れば来るほど、「こいつこんなしょうもねーことに本気だよ」みたいな面白さが、自然と伝わってきて笑えるというもの。今作にはそれが足りない気がする。設定が既に面白いから、あとは普通にやってても面白いよね、という、悪く言えば手抜き感が伝わってきて、結果としてあまり笑えるシーンもない。もう少し工夫や観客に向けてのサービス心があればずっと良くなっただろうに。もったいない作品。

ちなみに、ゲームの話ですが最近までやっていた「Fallout 3」というゲームの設定が、この映画の設定と酷似していて(ゾンビではなく、50年代アメリカテイストの核戦争後の崩壊した世界という点)、冒頭のゾムコン社のプロモーションムービーなんかこのゲームのトレイラーとテイストがソックリで、なんだか最初そのゲームのことばかり考えてしまった。そっちは完全なレトロフューチャーもので、放射能入りのコーラ的飲み物「ヌカ・コーラ」(ヌカ=ニューク=放射能)が出て来たりと、ブラックジョークという点では完全に上を行っていた。まあゲームと映画は違いますけど。興味がある方は公式サイトの「映像」から「予告編ムービー Part2」というやつを観てみるとよろし。

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レミーのおいしいレストラン

2009年03月05日 19:25

ネズミなのに料理が大好きなレミーと、料理の苦手な見習いシェフ、リングイニが出会い、おかしなコンビで一流のシェフを目指す・・・。という、ピクサー制作の3DCGアニメーション。

最近数多く制作される3DCGアニメーションだけど、やっぱりピクサーは違う。ドリームワークスが「シュレック」シリーズなんかで少しひねくれた味わいで人気を出しているなら、ピクサーはあくまで王道、正統派でもって、最高峰のクオリティを常に保ち続けている。それは3DCGの技術的な面だけでなく、ストーリーやキャラクター、アニメーションが見せ得る全ての部分に関して常に完璧で、それによってピクサーの地位を不動のものにしている。

この作品は一見ニモやウォーリーなんかと比べると地味な雰囲気だが、それでもピクサーは手を抜くことはない。逆に、「料理」という、今までにないテーマを提示したことで、他にはない作品に仕上がっている。

まず、3DCGで描かれる料理や食材の美味しそうなこと。タッチはネズミから人物まで全てデフォルメされているのだが、その世界観を崩さず料理の質感や香りまで感じさせるのは、実写の映像よりどれ程大変なことか。そのデフォルメの度合いがピッタリで、逆に3DCGでしか見せられない不思議なリアリティが出ている。個人的に良かったのは、人物キャラクターの手の造形。いかにもなデフォルメキャラクターなのに、手に関しては絶妙なリアルさがあり、料理をする際にそれがとても引き立つ。やっぱり料理人は手先が大切だもんね。
また、作中のシーンのほとんどは、リングイニの勤めるレストラン(特に厨房)で展開されるのだが、そのシンプルなシーン構成でも全く飽きることがない。厨房の慌しい様子はコミカルではあるがよく雰囲気が出ていて、次々料理がつくられる様子はなんともわくわくする。
ストーリーはディズニーのアニメらしく、ワクワク、ハラハラ、笑いと感動あり、の程よいバランスで、最後まで飽きずに楽しめ、また、終わったときは笑顔になれる。もちろん子どもが観るのにもとってもおすすめ。だけど、このお話は、意外と大人向けなような気がしなくもなかったり。まず料理というテーマ、そして働くという感覚、恋愛要素もあるし(お姫様と王子様、ではなく普通の男女の恋愛な感じ)、何より最後のまとめ方がいい。これ以上はネタバレするので実際に観てください。

とにかく、個人的にはニモよりこちらのほうがよっぽど好きかも。邦題がいかにもなお子様向けっぽいが、大人のほうが観て欲しい。ちなみに原題は「RATATOUILLE(ラタトゥーユ)」だ。
また、普段映画を観る際は必ず字幕で観る自分だが、今回は珍しく吹き替えで鑑賞。こういったアニメーションは画面に集中するためにも吹き替えのほうがいいかも。こういう大手のアニメは吹き替えも秀逸なので、そこまで煩わしさもない。声だけでなく画面内の新聞記事の文字まで日本語になっていたのは軽く驚いた。
また、ピクサーらしくエンドクレジットで流れるモーショングラフィックスも洒落ていて良い。音楽にもマッチしている。

難点を挙げれば、主役のレミー以下登場するネズミたちは、デフォルメされているといってもミッキーマウスほどではないので(毛がフサフサしているし、尻尾や体型、色も比較的リアル)、ネズミ=不潔な生き物、の認識がある人は、そのネズミが厨房にいたり、ましてや料理したりするシーンはちょっと見ていてツライかも。自分もつい繁華街のゴミ捨て場に徘徊するドブネズミを思い出してしまい、それを鑑賞中に忘れようと必死になることが何度かあった。アニメだからとあくまで割り切って観るべし。

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